宇宙と砂漠 ハリウッド 映像王国の挑戦 ~スターウォーズとILMの40年~
いま話題の「スター・ウォーズ」最新作。この超大作を手がけた映像スタジオ「ILM」に世界で唯一NHKのカメラが入り、製作の舞台裏を独占取材!40年前G・ルーカスがスター・ウォーズを制作するために設立し「E.T.」や「ジュラシックパーク」など数々の名作を手がけてきたILM。映画史を塗り替えてきた技術革新の秘話や、最新作で重要な役割を担う日本人アーティストの活躍など、夢の映像を生み出す驚きの現場に迫る。
再放送予定 - ハリウッド 映像王国の挑戦 ~スターウォーズとILMの40年~ - NHK
(再放送 1月9日(土) NHK総合1午後1時05分~午後1時50分)
これを今日見ていた。ILMの歴史が概観できてとても興味深かった。新作のスターウォーズの実際の制作の様子もなぜか映されていて、「ファルコン・チェイス」と呼ばれる前半の重要な場面のCGのチェック作業を放送していた。
(kitlog: 存在しないものへの感情移入 ジュラシックワールド)ここにも似たようなことが書いてあるのだけど、CGのリアリティについての議論がされていた。CGの多用で映されているものが偽物のように見えるかもしれないということが問題意識としてあって、それをどう乗り越えるかということで、あるシーンで砂漠に埋もれているスターデストロイヤーをどうやって描くかということが社内試写のチェックのテーマになっていたのだが、これは何かおかしい(NHKの編集の問題ということもあるかもしれないが)。取材の時期が11月(公開は12月)ということで、新しいシーンは撮れるはずはないのだが、リアリティにこだわるということであれば、アイレベルというかグラウンドレベルのシーンを加えるのが常套手段ではないだろうか。番組では現実感を増すためにデストロイヤーの廃墟の上に見えないような小さな人影を配置していたのだが、それならば彼らのアイレベルでファルコンが彼らの近くを通り過ぎるようなシーンを撮ってもよかったのではないか。問題はCGでいかに見せるかということではなくCGの中だけで考えることなのではないか。
ILM(Industrial Light & Magic | VFX and Animation Studio)は『スターウォーズ』の第一作をつくるために設立された。番組では40年前の模型とモーションカメラを使った撮影方法が紹介されていた。模型自体がとても精巧にできているのだが、それが綺麗に映るのは設定が宇宙であることというのは間違いないだろう。模型を遮るものが何もなく純粋にそれを観ることができる。何かに引っかかるとかいうことがほとんどない。宇宙には何もなく他に大きさや質感を比較するものがないし、その模型を宇宙空間で外から見る人物も存在しない。どんな自然物に比較されなくても模型はそれだけで存在できるのだ。
しかし砂漠ではそういうわけにはいかない。去年は砂漠といえば『マッドマックス 怒りのデスロード』があったので比較してしまうが、あれは砂漠を実際に車が走っていてタイヤやエンジンに砂が絡まって砂が舞い上がる様子が描かれていた。それを思い出すとファルコンが敵から逃亡する際に砂漠に機体の端を擦って砂煙が上がるところは砂が少し軽すぎるのではないかと思った。『インターステラー』を見た時に簡易宇宙船みたいなやつの脇にGoProを置いて撮ったような映像を何度か混ぜているのが気になっていたのだが、あれもリアリティをあげるための表現だとして、ファルコンが飛行中に砂漠に機体を擦ったらどんな砂の巻き上がり方をするのかというのはとても気になるのだ。本当に水しぶきみたいにああいう感じになるのだろうか。飛行機の下にファルコンの一部を取り付けて飛行し、砂漠に擦ってみるとどうなるか気にならないだろうか。ファルコンの端にGoProを置いて砂漠で撮影するとどうなるのか、砂に擦っている部分はどうなっているのか気にならないだろうか。擦っている部分のアップが加わると映像はどう変わるだろうか。そういうのがリアリティだと思うので、最低限のレベルはあるとしても単に画単体の中にはそれは宿らないだろうと思う。ただリアリティを気にし過ぎると2時間の映画にならないので、どれだけ追求すればいいかは映画によるだろう。
9/10/2020
更新
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