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神話的カーテン すずめの戸締まり

九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。「すずめ すき」「おまえは じゃま」ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。やがて、日本各地で次々に開き始める扉。不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。 映画『すずめの戸締まり』公式サイト『天気の子』にあって『すずめの戸締まり』にな…

『失敗の本質』の失敗 ゴジラ-1.0

戦争によってなにもかもを失った日本は、焦土と化していた。戦争から生還するも、両親を失った敷島浩一は、焼け野原の日本を一人強く生きる女性、大石典子に出会う。戦争を生き延びた人々が日本復興を目指すなか、追い打ちをかけるかのように、謎の巨大怪獣ゴジラが出現。圧倒的な力を持つゴジラに、人々は抗うすべを模索する。ゴジラ-1.0:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画(映画『ゴジラ-1.0』公式サイト)『失敗の本質』敷島浩一は零戦の特攻隊員だったが、作戦を抜け出し、機体の整備のためといって大戸島に戻ってくる。彼は両親に何としても生きて帰ってくるように言われていた。そのために、彼は機体が壊れていると嘘をついた。島の整備兵が敷島が逃亡してきたことを察して「一人くらいそういうやつがいてもいい」という。敷島は戦争からは逃れられたが、そこにゴジラが襲い掛かってくる。以降、彼が人並みの暮らしを生きようとするたびにゴジラは牙を向けてくる。大戸島でゴジラに遭遇した際、整備兵は塹壕のような場所に隠れ、敷島に零戦の機銃で応戦するようにいう。敷島は零戦に乗り込むが、ゴジラを撃つことが…

考古学の擁護 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

政教分離のヒーロー第2次世界大戦前夜の1936年を舞台に、旧約聖書に記されている十戒が刻まれた石板が収められ、神秘の力を宿しているという契約の箱(=聖櫃)を巡って、ナチスドイツとアメリカの考古学者インディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)が争奪戦を展開する。レイダース 失われたアーク《聖櫃》 : 作品情報 - 映画.com『レイダース 失われたアーク《聖櫃》 』の冒頭、インディは南アメリカの罠だらけの洞窟で黄金の像を見つける。その像は台座にのっており、何か仕掛けがある。彼は事前に用意した砂袋の量を調整したあとで、黄金の像と砂を一瞬で入れ替える。罠の仕掛けがすり替えが起こったことを感知しなければ何も起こらないはずだが、うまくいかず台座の部屋が崩れ始め全ての罠が作動してしまう。インディは罠から放たれる矢をかわし、同行者の裏切りを乗り越え、転がって背後に迫ってくる大岩を避けて、洞窟から脱出する。洞窟を出るとすぐ、ライバルの同業者があらわれ、インディはそれを横取りされてしまう。序盤から中身の濃いアクションが展開されるが、ここで見逃せないのはインディが砂を金に替えたことだ。映画の中で「安物の時…

語り手と聞き手、昔からの読者 THE FIRST SLAM DUNK シン・仮面ライダー

観客と昔からの読者たち提示〔showing〕と叙述〔telling〕(模倣〔mimesis〕と物語〔diegesis〕)――さらに最近の用語を用いるなら、言説〔discours〕と物語=歴史〔histoire〕――のような物語的言説を形成する古典的な二極性は、命名に関わる最初の錯綜状態と相関をなしている。人間に関わる言説が指示的かどうかを明言するのが不可能であるのと同じように、それが模倣的か物語的かを決定するのは不可能である。物語の可能性は、語り手、すなわち人間について語る人間の仮構的な存在を前提にしている。それはまた指示的な検証可能性という問題を提起するような行為の必要性を前提にしており、この切りつめられない認識論的な契機は、すぐさま聴衆や読者といった形象=比喩によって表象される。(p291,292)『読むことのアレゴリー』ポール・ド・マン現在、同時期に公開している『THE FIRST SLAM DUNK』と『シン・仮面ライダー』はともに原作がかなり昔に最終回を迎えていて、そこからスラムダンクの方は約三十年、仮面ライダーの方は五十年経っている。そのような言わば昔の作品を現代に蘇らせ…

離れている間に培ったこと ひきこもり先生 ぼっち・ざ・ろっく ブルーロック silent

離れていること ひきこもり先生元ひきこもりの上嶋陽平(佐藤二朗)は、非常勤講師として梅谷中学校に2年ぶりに復帰。不登校生徒が集まるステップルームの他に3年A組の副担任サポートも担うことになった。着任早々、近くで起こったホームレス襲撃事件に梅谷中学校の生徒が関わっていたことが判明。職員室は修学旅行を自粛するかどうかで揺れていた。そんな中、陽平は修学旅行の準備に熱心だった松田篤人(寺田心)を励ますのだが、逆に篤人は陽平に反発する。前編「どうでもよくない!」 - ひきこもり先生シーズン2 - NHK言いたいことは我慢しないで言っていい、と訴える陽平(佐藤二朗)に、生徒たちは「やっぱり修学旅行に行きたかった」と本音を明かす。陽平は修学旅行を復活させるために、教育委員会の西村(室井滋)や、元校長の榊(高橋克典)の励ましを受け、保護者会の説得に挑む。一方篤人(寺田心)の母親冴子(高橋由美子)が病気だと知った藍子(鈴木保奈美)は冴子に介護支援を受けるように説得するがなかなか聞き入れてもらえずにいた。後編「言えなかったこと」 - ひきこもり先生シーズン2 - NHK上嶋陽平は普段は焼き鳥屋をやってい…

暗黙のリスク管理 バズ・ライトイヤー

有能なスペース・レンジャーのバズは、自分の力を過信したために、 1200人もの乗組員と共に危険な惑星に不時着してしまう。彼に残された唯一の道は、全員を地球に帰還させること。猫型の友だちロボットのソックスと共に、不可能なミッションに挑むバズ。その行く手には、孤独だった彼の人生を変える“かけがえのない絆”と、 思いもよらぬ“敵”が待ち受けていた… 作品紹介・あらすじ・キャスト情報|バズ・ライトイヤー|ディズニー公式From Disney and Pixar comes an animated sci-fi action-adventure — the definitive origin story of Buzz Lightyear (voice of Chris Evans), the hero who inspired the toy. “Lightyear” follows the legendary space ranger on an intergalactic adventure alongside ambitious recruits, Izzy, Mo and Darby…