『スターウォーズ フォースの覚醒』について態度保留

米ウォルト・ディズニーは6日、SF映画「スター・ウォーズ」シリーズ最新作「フォースの覚醒」の北米における興行収入が同日までに、過去最高だった「アバター」(2009年)を超えたと明らかにした。
CNN.co.jp : スター・ウォーズ最新作、米国興行収入で「アバター」抜き歴代1位 

『ジェダイの帰還』から約30年後を舞台に、フォースを巡る全く新しい“家族の愛と喪失の物語”が描かれる。
砂漠の惑星で家族を待ち続けている孤独なヒロイン、レイの運命は“ある出会い”によって一変することに…。
旧シリーズの不朽のキャラクターたちに加えて、重要なカギを握るドロイドBB-8、ストームトルーパーの脱走兵フィンなどが登場。世界中が注目する悪役は十字型のライトセーバーを操るカイロ・レン。
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スターウォーズ フォースの覚醒
(Star Wars: The Force Awakens Trailer (Official) - YouTube

初日のレイトショーを観に行って、面白かったのだが何も書く気になれなかった。もしこれを評価する立場にあったとしたら、態度を保留するだろう。その理由はいくつかある。まず一つは、これが三部作であること。続きがあることが確定していてEp8の脚本もずっと前にできているので、Ep7単体では映画を評価するフレームが弱いというか揺らいでいる。ここからどうにでも話が続きそうな気がする。なので評価ができない。

二つ目は、スノークのセリフだ。

チームは最初の三部作と同じテーマや比喩を何度も周期的に繰り返す。実際、『フォースの覚醒』は、エピソード7というよりは、エピソード4~6のリメイクのようである。脚本のあらゆる瞬間が、旧三部作の地図上に位置づけられているのを、目に浮かべることができるほどだ。
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「私は過去に戻らないと前進は出来ないと思っているんです。シリーズが“4”から始まりますが、争い事やいさかい、裏切りや犠牲は全て終わっていて、実際にはあまり説明がありませんよね。帝国というものが何なのか、父親とか兄弟とかにも深く入り込んでいません。今回のエピソード7が30年後を舞台にしているということでつながってはいるけれど、旧3部作が持っていた使い古した汚れみたいなものが『スター・ウォーズ』らしいと思っているんだ。だから真新しいものではない世界を作りたかったし、権力を持った人間のストーリーではなく、どちらかというと負け犬というか何にもない人たちが冒険に出て自身を見つけていく事を描きたかった。歴史は繰り返すということもあるし、同時に希望を持てるストーリーだと思いますよ」。
J・J・エイブラムスが明かす「スター・ウォーズ」を監督するということ : 映画ニュース - 映画.com

あのよく分からない白いでかいのは言った。

Snoke: Bring me Kylo Ren. It's time to complete his training.

デススターみたいのが爆発する寸前のシーンで、字幕では「カイロ・レンを呼べ。修行は終わりだ。」みたいな感じになってたと思うが、そのセリフが示唆するようにこのエピソードはスターウォーズの練習なのだ。カイロ・レン(アダム・ドライバー)は「ダース・ベイダーになれるだろうか、なれないんじゃないか」という未熟な悪として描かれるのだが、そのはっきりしない感じのためにファーストオーダー全体が強そうに見えないので(フィンはあいつらはヤバイみたいなことを何度も言うのだが)、その印象がストーリーに影響を与えている。結局カイロ・レンはハン・ソロ(ハリソン・フォード)を殺害することでおそらく次回では完全な悪として描かれる(?)だろうけど、彼にとって今作はダース・ベイダーになるための練習だったのだ。興行の成功とは裏腹に、これはスターウォーズの本番ではない。だからリメイクに見える。この映画の最後にヒロインのレイ(デイジー・リドリー)とルーク(マーク・ハミル)は出会うのだが、髭面のルークはルーク・スカイウォーカーというよりはジョージ・ルーカスであると言いたくなるような風貌だ。ルーカスとは最後になるまで相見えなかった、このEpはスター・ウォーズの練習でルーカスとの対決、ルーカスを乗り越えるような何かはお預け、次回という形になっているのだ。新しいことが大してないという批判があるのもそのためだろう。

ルーカス氏は先のインタビューで、「彼らはレトロ風の映画にしたがっていた。それは好きではない」と指摘。自身はどの映画でも、従来とはまったく異なる新しい趣向に挑んできたと述べていた。
CNN.co.jp : G・ルーカス監督、ディズニーに謝罪 「奴隷商人」発言で - (2/2)

「僕の役割は旧作から“新大陸”への橋渡しをすること。(新旧キャストの)ハリソン・フォードとジョン・ボイエガの共演シーンはとても面白くて、2人が生き生きしていた。橋をかけることができた、と思った」と語った。
映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」 ゼロから始まる冒険物語(3/3ページ) - 産経ニュース

旧作からの橋渡しというのは、見解の相違ということになるだろうが、どちらにしても"Chewie, we're home. "以上のものには今のところなっていないと思う。ファン向け(home)という批判は免れないだろう。それでも面白く観たし、次も期待できると思えるものだった。
9/10/2020
更新

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