can't take my eyes off you ジャージー・ボーイズから

今ではショッピングモール等ほかの商業施設に併設されて映画館が存在しているのが普通だと思いますが、金沢のユナイテッド・シネマは珍しく映画館が単体で存在していました。全体的に古びていて外観も少し古いというかポストモダン調でトイレにウォシュレットがない!自由席制度、最も驚かせるのはシアター内部がものすごくというか不釣合いに広くみえる。200か300席くらいあったと思いますが、モールとかのシネコンだとおそらく採算の問題でありえない余裕がありました。(劇場案内 - ユナイテッドシネマ金沢 | 金沢)ここ見ると376席あったみたいですね…。

9スクリーン、2,456席、1997年10月11日開館

ルネス9シネマという名称でUCIジャパンの2号店として開業した。UCIの劇場はビル内の併設ではなく、独立した建築物とするのが本来の構造である。しかしながら、日本進出1号店は本来の形を採れなかった[21]。2号店である同館は独立型を採っており、日本国内のマルチプレックスとしては初の構造である[22]。開館時は周辺劇場への影響を懸念し、封切り直後の東宝系作品が配給されることはなかった。同様の状況が各地で見られたためシネコン各社の関係者を中心にこの頃から問題視するようになった[23]。後に邦画系作品を除き配給されるようになっている。2004年1月1日に館名を改称。2008年10月にルネスかなざわは閉鎖したが、同館は営業を続けている。
ユナイテッド・シネマ - Wikipedia


それはいいとして映画の話。

「ミリオンダラー・ベイビー」「グラン・トリノ」の名匠クリント・イーストウッド監督が、1960年代に世界的な人気を誇った伝説の米ポップスグループ「ザ・フォー・シーズンズ」と、そのリードボーカルを務めたフランキー・バリの代表曲として知られる「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」の誕生秘話を描いたドラマ。2006年トニー賞でミュージカル作品賞を含む4部門を受賞した、人気ブロードウェイミュージカルを映画化した。アメリカ東部ニュージャージー州の貧しい町に生まれた4人の若者たち。金もコネもない者が町から逃げ出すには、軍隊に入るかギャングになるしかなかったが、彼らには類まれな美声と曲作りの才能があった。4人は息の合った完璧なハーモニーを武器に、スターダムを駆けあがっていく。ミュージカル版にも主演し、トニー賞でミュージカル男優賞を受賞したジョン・ロイド・ヤングが、映画版でも主演を務めた。
ジャージー・ボーイズ : 作品情報 - 映画.com



4人が「シェリー」などヒット曲を歌うシーンが、次々に出てくる。単に羅列されるのではない。歌のシーンが出てくるたびに、歌う場所も歌う4人の境遇も違っている。だから、見る者は前のめりに引き込まれる。歌のパートと物語のパートが交互に織り上げられ、絶妙な映画的運動をくりひろげるのである。

美声のフランキー・ヴァリ役ジョン・ロイド・ヤングなど3人は、原作ミュージカルの出演者で、もう1人を含め、スクリーン上でも素晴らしい。青春期の友情から始まり、恋愛、栄光、仲間割れ、家庭の崩壊、そして挫折など、それぞれの人生を、初老の時代まで好演する。

彼らはときおりキャメラつまり観客に向かって語りかける。舞台から引き継がれた手法で、内心の表明が映画の時空を深める。クリストファー・ウォーケン扮するマフィアのボスに注目しよう。4人組を父親のように見守る姿が、イーストウッド自身の投影と思えてくる。
(プレミアシート)「ジャージー・ボーイズ」 巨匠が描く青春音楽劇:朝日新聞デジタル

前も書きましたが基本的に映画を見るときはたまたま原作を知ってたとかそういうのでない限り何も情報を頭に入れて行きません。単にクリント・イーストウッドで音楽の映画っぽいというだけで観に行ったのですが、予想外に良かったです。伝記ものですからあらすじで大体のストーリーは分かってしまう、言ってしまえば典型的な成功と挫折の物語なので、作り手が不能であればそれだけのものになってしまうのだろうと思いますが、いきなり引き込まれてしまいました。

役者がカメラに話しかける方法がまずそうですね、主役のヴァリだけは内面を語ることをしなかったと思いますが(追記:1990年、式で順番に話していくのは別として)、彼に感情移入した方がいいよというサインでしょうか。あるいは歌そのものが彼の語りということなのか。

何より圧倒的に心動かされるのは、彼らの才能の出会う瞬間です。ヴァリがはじめてステージに上ったとき、ボブ・ゴーディオとはじめてセッションをした時、観客のリアクションも相まってすごくいいです。トミーは内心ではボブの加入を「頭にベルが鳴った」と言ってその興奮を映画を観るものに語りかけるのですが、実際にあった時は才能は認めていても自分のほうが偉いという風にとてもボブに対してそっけない態度で通すんですね。でも実際に音を鳴らしてみると全然そんなことが関係なくなってしまう、それが終わったあともトミーはなかなか認めないんですが、この関係とそれをつなぎとめる音楽がとても素晴らしいです。

音楽を生業としない者が1日に聞く時間などたかが知れている。限りある人生の時間のなか、ヒット曲をもう一度聞き直すことさえ至難の業なのだ。

過去の音源の発掘、整理が進み、ソフトで、クラウドで、聴ける曲は、以前とは比べものにならないほど多くなった。そして、実に簡単にアクセスできる。

通販を利用すれば、居ながらにして当日にでもソフトを手にすることができるし、外国からでも数日で届く。開発進むドローンによる配達が実用化となれば、さらに時間は短縮されるだろう。ダウンロードなら一瞬だし、動画サイトにはプロモーションビデオも豊富にある。

その一方で、選択肢が多岐になればなるだけ、強い動機がなければ、あえて、古い曲を聞くこともなくなるだろう。

一世を風靡したヒット曲とて、ライブラリーやクラウドの中に埋もれ、やがてその曲が持つ社会的な記号、時の記号も忘れられていく。それがヒット曲というものの寿命ということなのかもしれない。
ジャージー・ボーイズで考えるヒット曲の価値と寿命 あふれる音楽と限られた時間の狭間で・・・:JBpress(日本ビジネスプレス)

実際のところ映画で使われてる楽曲sherryやcan't take my eyes off youなどどこかで聞いたことはあるけれど、誰が歌ってるのか知りませんでした。おかげで映画見てる途中でこれがあれなのかという体験が出来ました。クリント・イーストウッドが予言してる通りw、この音楽が気になって仕方がない、Youtubeを見ながらcan't take my eyes off youという感じですね。アーカイブは死体安置所ですから、彼らをよみがえらせることができるのは(無論ゾンビにならないように)また才能ということですね。


これは映画本編の映像なので、映画観てからのほうがいいです。

最後に最近たいしてアウトプットしないで何の本を読んでるかですが、というか何に問題意識があるかということに関連することですが、基本的にマルクスに関するものです。今まで書いてたことと関係が全くないことではないのですが、というかかなりある、ただ色々足りてないのでまとまるかどうかわかりませんが。

だめですね、こんなんじゃ。寝よう。本当にごめん。
9/10/2020
更新

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