音階と音楽 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

「アベンジャーズ」のマーベル・スタジオから、新たなアクション超大作が誕生。
幼くして地球から誘拐され、宇宙をまたにかけるトレジャー・ハンターとなったピーター・クイル。彼がハイテク武器と一緒に肌身離さず持っているのは、亡き母の形見の70年代ヒット曲入りウォークマン。そんな彼がある日、巨万の富を夢見てパワーストーン<オーブ>を盗み出す。だが、銀河を滅亡させるほどの恐ろしい力を持つオーブを狙う悪党たちから追われる羽目になってしまう。そして、それをきっかけに、賞金稼ぎのアライグマのロケットとその相棒の樹木型ヒューマノイドのグルート、妻子の復讐を誓う狂暴な男ドラックス、そして美しく危険な暗殺者ガモーラたちと出会う。時を同じく、ザンダー星が破壊され銀河を滅亡に陥れようとする動きを感じたピーターは、この4人を説得、お尋ね者で負け犬の彼らは銀河を救う為に、宇宙最凶チームとなって立ち上がることを決意する。
宇宙の存亡をかけた戦いに巻き込まれた彼らは、この100%勝ち目のない無謀すぎる戦いに勝利するのか、そして銀河の守護者になれるのだろうか?
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』BD+DVD発売 - TOWER RECORDS ONLINE

My love is alive
Way down in my heart
Although we are miles apart
If you ever need a helping hand
I'll be there on the double
As fast as I can

Don't you know that
There ain't no mountain high enough
Ain't no valley low enough
Ain't no river wide enough
To keep me from getting to you
MARVIN GAYE LYRICS - Ain't No Mountain High Enough

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
(Marvel's Guardians of the Galaxy - Trailer 2 (OFFICIAL) - YouTube

SONYのウォークマンが出て来たところで、変なものがはじまったなと思いましたw。私にとっては、聞いたことはあるけどあまり馴染みのない70年代のポップスがふんだんに流れてきます。昔の音楽が流れてくると、宇宙Sfでもロードムービーみたいに見えますね。知ってる曲でもこういう風に使われると知らない曲みたいに聞こえてくることがあります。それはこの物語とリンクしていて、70年代の音楽は主人公クイルの母親の形見ですが、クイルはその音楽の物語を映画のなかで生きなおしていっているように見えます(”そう何度でも 何度でも僕は生まれ変わって行ける”)。(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』サントラ全12曲を勝手に解説。|まじさんの映画自由研究帳

この映画は物語よりも先に音楽があるという形になっているように見えます。去年はアナ雪やらジャージー・ボーイズやら音楽と密接に結びついた映画が目立ったように思いますが、それはなぜなのでしょうか。

ソクラテス 「君はよい人だ。それはね、たしかに、音階の知識を身につけようとする人は、君の言うようなことを知っていなければならないに違いないのだ。しかしだよ、君にできるようなことを心得ている人が、音階の調和のことを、これっぱかりも知らないということだって、じゅうぶんありうるのだ。なぜかというと、君の知っているのは、音階の調和のことを研究する前に、予備的に習っておかなければならぬ事柄なのであって、音階の調和そのものに関することではないのだから。」

パイドロス』プラトン p117,118

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
(Marvel's Guardians of the Galaxy - Trailer 2 (OFFICIAL) - YouTube

音楽はとてもわかりやすいのですが、音楽の構造はドレミファソラシドでできているといったところで、それは何も意味していませんね。音階を知っていたところで、それは何かの「準備」にすぎないのです。ソクラテスが言うように、音楽をつくるにはそれらを調和させる方法か閃きか何かを見出さなければなりません。これは物語でも同じです。物語の構造を10種類か何かにまとめてみて、物語って単純で退屈なんですよと言ってみたところで、音楽がドレミファソラシドで出来てるんですよとしたり顔で言っているのに等しいとても愚かなことです。ただ、現在はビッグデータ解析やら構造分析やらに勢いがあるために、物語がそれらによって計算されてしまって、何か新奇性がないように見えたり脆弱なものに見えたりするのかもしれません。しかし、物語の調和、全体と部分の調和といったものは映画の体験や感情移入,共感にとって欠かせないものです。その部分が物語だけでは劣勢に見えるので、音楽の力を借りているのが実情ではないでしょうか。インターネット以降とてもストリーミングやら無料再生やらで価値が下がったようにみえる音楽によってデータ主義や構造主義的なものが超えられようとしているかもしれないというのは皮肉なことかもしれません。

Trying to live without your love is one long sleepless night
Let me show you, girl, that I know wrong from right
Every street you walk on, I leave tear stains on the ground
Following the girl I didn't even want around

Let me tell ya now
Oh baby, all I need is one more chance
(To show you that I love you)
Won't you please let me back in your heart
Oh darlin', I was blind to let you go
(Let you go, baby)
But now since I see you in his arms

All I want...
All I need...
All I want!
All I need!

Oh, just one more chance
To show you that I love you
Baby baby baby baby baby baby!
(I want you back)
Forget what happened then
(I want you back)
And let me live again!
JACKSON 5 LYRICS - I Want You Back

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
(Marvel's Guardians of the Galaxy - Trailer 2 (OFFICIAL) - YouTube

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9/10/2020
更新

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